宮崎千尋のラーメン論「湯切り」編2

宮崎千尋のラーメン論「湯切り」編2

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平ザルか、うどんテボか?
「お湯チェン」も隠れたチェックポイント

麺の湯切りといえば、「平ザル」か「うどんテボ」かという選択もありますよね。茹で湯を切るという意味では平ザルに軍配が上がるでしょう。

あと、麺を泳がせるという観点でも平ザルが優位です。

ただ、平ザルでの湯切りは技術を要します。たとえば、僕が修行した『一風堂』は五右衛門釜に麺を投入し、100gずつ取って湯切りしなければなりません。

までできるようになるには、それなりの修練が必要になります。

だから、ソラノイロでは平ザルではなくうどんテボを採用しています。

高度な職人技を発揮して厨房を回すのではなく、アルバイトスタッフにも麺揚げをしてもらう。そんな考えで会社を運営しているからです。

これが思想の違い。多店舗ではなく一店舗で目の届く範囲で経営し、職人のパフォーマンスも含めて湯切りをしたい。そんな思想であれば平ザルの方が絶対的に良いでしょう。

一人でも多くの人に提供したいから多店舗展開をするのか、単店で職人気質、プロフェッショナルを表現したいのか。どちらに舵を取るかで湯切りのスタイル、選ぶ道具も変わってくるということです。

最近の傾向としては、うどんテボにしても小さなカゴではなく、できるだけ大きなカゴで麺を泳がせる店が増えてきました。

大きなテボにタオルを巻き、カスタムした湯切り鍋にセットするというスタイルですね。

パスタを茹でるような角型テボを選ぶところもあります。サイズが違えば麺の泳ぎ方が全然違います。

店主の工夫、研究がうかがえるポイントですね。

そうそう、湯切りでは茹で湯を綺麗にしておくのも大事。丁寧に湯切りをしても、ある程度の茹で湯はスープに混ざってしまいます。

忙しいからといって「お湯チェン」をせず、茶色がかったドロドロの湯で茹でているようなところは、ちょっと遠慮したくなりますからね。

さら湯の方が沸点も高いのでスピーディーに茹で上がりますし、スープがクリアに味わえます。

厨房のクリンリネスを考えているお店でも、茹で湯まで徹底して清潔さを保っているようなら、店主の目がそこまで行き届いているということ。

湯切りには店主の思想が現れる――前項ではそう書きましたが、店主の真摯な姿も反映されます。

 

ラーメンを待っている時は、ぜひ「湯切り」にも注目してみてください。